Happy Rug Market

【連載】ラグのある暮らしを訪ねて。vol.06 ブランドディレクター・平野朋子さん

【連載】ラグのある暮らしを訪ねて。
vol.06 ブランドディレクター・平野朋子さん

平野朋子さんは、全国さまざまな企業でブランディング支援を行っている「Brand. Communication. Design.」のブランドディレクター。この「Happy Rug Market」のサイト開設にも深く関わっています。実は平野さん、サイト立ち上げに関わる前後で敷物に対する考えが大きく変わり、現在はプライベートでも“ラグのある暮らし”を楽しむようになったのだそう。東京都目黒区のご自宅にうかがい、現在のライフスタイルを取材しました。

フロアライフコンシェルジュ

畠 あけみ

畠 あけみ インテリアコーディネーター / カラーコーディネーター
リビングスタイリスト / キッチンスペシャリスト

一枚のお気に入りの敷物に出会っていただくためのお手伝いが出来ればとても嬉しく思います。

都内のリノベマンションで楽しむ、ミニマリスト的暮らし

都内のリノベマンションで楽しむ、ミニマリスト的暮らし

「もともとは地元近くで一軒家に住んでいたんですが、やっぱり東京は情報が集まりますし、仕事がしやすい環境だなって思います。職業柄、全国いろいろなところに出張するので、移動しやすいのも便利ですしね。あと、この街には銭湯があるのもいいんですよ(笑)」


平野さんが住む1LDKのマンションがあるのは、目黒区のなかでも古くからの商店街が広がる、下町情緒が残る賑やかなエリア。飲食店も数多くあり、多くの人が行き交う駅前を抜ければ、自宅まではなんと徒歩数分、利便性を重視して選んだ立地で、東京ならではの生活を満喫しています。


さっそく室内を拝見すると、清潔感のある白壁に、天然素材の家具やドライフラワー、そして中央にはラグの上に置かれた大きな木のテーブル。賑やかな街の雰囲気とは打って変わって、カフェのような落ち着きのある空間が広がっていました。

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「ミニマリストというか、あまり物を持たない主義なんです。キャリアの出発点がデザイナーだったからか、雰囲気のあるヴィンテージものは好きなんですが、たとえば洗剤やティッシュペーパーのパッケージの色がインテリアを壊してしまうのが気になってしまったり。余計なものはなるべく置きたくないんですよね」


実はそのデザイナー時代、都内のタワーマンションに住んでいた時期もあったという平野さん。今はこの穏やかなリノベーションマンションで、ときおり銭湯を楽しむような暮らしが気に入っているのだそうです。

仕事を通してラグと出会い、もっと“いい部屋”に

仕事を通してラグと出会い、もっと“いい部屋”に

平野さんの仕事はブランドディレクター。その仕事柄、企業内でワークショップなどを行うことも多く、仕事関係の資料は増えていく一方だそう。それでいて室内は整理整頓が行き届いていているのは、規格が統一されたキャビネットにこまめに収納しているから。このように部屋の中を整えているのは家での暮らしを大切にしているからこそですが、ともすれば部屋が殺風景になりがちだと平野さんは言います。


「リビングはくつろぐための空間、寝室は寝るための空間。物をあまり置かないようにしているのは機能性を保つためでもあるんです。でも、『Happy Rug Market』に関わることになって、試しにラグを敷いてみたら、なんだか“いい部屋”になったんですよ。色や柄が部屋の中に増えても、天然素材ならむしろ彩りを与えてくれる存在になるんですよね。それからはラグを部屋に積極的に取り入れるようになりました」

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ブランドディレクターとして、これまでさまざまな企業の仕事を通して発見があったと平野さん。たとえば、酒造メーカーの仕事でハイボールのおいしさを知ったり、タイルメーカーの仕事で焼き物の魅力に触れ器が好きになったり。同じように敷物も、暮らしを豊かにしてくれるものだと実感したそうです。


「ラグを敷くようになってから、『こんなに違うのか』と思うようなことがたくさんありました。なにせ、それまでラグを取り入れたことがありませんでしたから(笑)。たとえば、敷いてすぐに実感したのが、椅子を引くときに音がしないこと。これが思いのほか快適で、こういう小さなストレスに気づいていなかったんだなと思いましたね」

日々の生活に新たに増えた、居場所と時間

日々の生活に新たに増えた、居場所と時間

もともと家で過ごす時間が好きで、「夜、おいしいお茶を飲みながらNHKの番組を観るのが至福の時間(笑)」と話す平野さん。足元が暖かくなって快適に過ごせる、フローリングのままのときよりもほこりが気にならなくなるなど、いくつもの“発見”があったと言います。最初に手に入れたのは、落ち着きのある色味が好みだったという、テーブルの下に敷いている大きな一枚。それから機会があるごとに購入して、どんどん増えていきました。


お気に入りは、玄関に敷いたヴィンテージの一点もの。これは生活雑貨の国際見本市・ギフトショーでラグを扱うブースに目がいき、色合いや雰囲気に惹かれて購入したのだそう。そのほか、寝室には踏み心地の良いパキスタン緞通、ダイニングチェアにはクッション代わりに小ぶりのギャベも。


「ふだんはシェアオフィスで仕事をしているんです。自宅でやってもいいのですが、まわりに人がいたほうが集中できるんですよね。家だとつい、掃除を始めてしまったり、料理してしまったり(笑)。だからこの部屋で過ごす時間は、もっぱらゆっくりするとき。ラグがあることで、家での時間が豊かになりました」

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なかでも大きな“気づき”が、「ラグを敷くことで暮らしの場が増える」ということ。平野さんの部屋は1LDK、キッチンとひと続きのリビングダイニング、その一角に設けたワークスペース、寝室がひとつという間取り。とくに寝室のベッドサイドに敷いたラグが、大きな変化をもたらしたと言います。


「寝室には壁際に本棚を置いているのですが、それまでベッドの脇はただの通路だったんです。それが、ラグを敷いたことで床に腰を落とすことができるようになって、そこでよく本を読むようになりました。ちょっとした読書スペースになったんですよね。それまでは買っても積んでそのままということが多かったのですが、今ではちょっとした隙間時間にも読書を楽しめています」

たった一枚のラグから、暮らしが豊かになっていく

たった一枚のラグから、暮らしが豊かになっていく

以前はラグに対して、さまざまな思い込みがあったと平野さん。ハウスダストが増えるものと思っていたのが、実際にはダストポケット効果でほこりが抑えられたり、大きなサイズをリビングに敷くものと思っていたのが、小ぶりのものが意外な場所で活躍したり。最近では、「本来の使い方ではないかもしれないけれど、季節に合わせて裏返す」という新たな発見もありました。


「ベッドサイドのラグはウール素材で通年で使えるものですが、裏側は質感が異なっていて、これもまた気持ちいいんです。“倍おいしい”使い方を見つけてしまいました(笑)。それに、以前は出張が多いからと諦めていた植物も取り入れるようになりました。調べてみたら不在時に水やりができる道具があったんですよ。本を読むようになって寝室の本棚も増やしましたし、最初にラグを取り入れてから、暮らし方への意識そのものが変わったと思います」

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平野さんが東京で再び暮らすようになって、まもなく2年。仕事の幅が広がり、これからは得てきた知見を次の世代に伝えたり、今は通学のため実家にいる娘と一緒に暮らすことも考えながら、今後はどこで暮らしていくかを思案しているところだそう。


「とはいっても、しばらくは東京での生活を続けるつもりです。ここにしかないものが多いですし、これからもっとチームで仕事をしていきたいとも考えていて。友だちを呼んでホームパーティもしたいですし……。そうそう、今日もこの取材のあと、昔とてもお世話になった方がこの部屋に来るんですよ。居心地のいい空間にお招きすることができて、ラグと出会えて本当によかったなと思っています(笑)」