Happy Rug Market

フロアライフ・コンシェルジュが語る、ハッピーラグマーケットのお話。

フロアライフ・コンシェルジュが語る、ハッピーラグマーケットのお話。

ハッピーラグマーケット(以下、ハピラグ)を運営するトーホー株式会社は、フロアライフのパイオニアとして知られる敷物専門商社です。大手量販店やホームセンターが、自社ブランド製品を独自に企画販売することが主流になったいま、私たちのような「小さな商社」が生き残ることは本当に難しくなってきました。

事実、私たちが働く泉州エリアでも、この数年のうちにいくつものインテリアメーカーや商社が閉業、あるいは事業を縮小していると言われています。

このような逆風が吹くなかでも、お客様から高い評価を集めつづけ、日本中の住宅のフロアライフを豊かにしているハピラグの強さは一体どこにあるのか。フロアライフ・コンシェルジュのふたりがその秘密を語ります。

フロアライフ・コンシェルジュ

  • 濱口 知大ブランドマネージャー

    お客さまご自身のフロアライフの快適さや癒しなど、心の豊かさを届けたいと思っています。そのためのサポートをスタッフと一緒に精一杯努めさせていただきます。

  • 畠 あけみインテリアコーディネーター
    カラーコーディネーター
    リビングスタイリスト
    キッチンスペシャリスト

    一枚のお気に入りの敷物に出会っていただくためのお手伝いが出来ればとても嬉しく思います。

堺から、しなやかに

堺から、しなやかに

ハピラグの強さは、堺という場所に秘密があるのでしょうか?

濱口:
「堺はもともと戦国時代から貿易が盛んな街です。敷物を織るのに必要な木綿や絹糸、羊毛といった素材が、この堺には集まっていたと聞いています。その素材を使って、堺で手織りした緞通のことを『堺緞通』と言って、明治中期までは積極的に輸出されていたそうです。堺緞通は千利休が広めた茶道と並んで堺を代表する伝統工芸です。この地が敷物と密接な関係にあるのは間違いありません。」

商人の町というイメージがありますが、その影響はありますか?

畠:
「そうですね。流通が盛んなこともあって、堺には国内外から多くの情報が入ります。それをなんとか活かして、工夫を重ねながら世の中のニーズに対応してきたという『対応力』があると思います。それは職人というよりも商人の思考に近いのかもしれません。」

濱口:
「これはどうしても絶対に守っていくぞ、みたいな感じではなく、言われたことに対して『それならこうしたらどうかな、もっとこうしたらどうかな』と、トライアンドエラーを繰り返しながら対応してきたという点は、ハピラグにも通じるのかな。」

畠:
「堺商人はいつでもお客様のニーズを最優先して、とにかく臨機応変に動く。頑固一徹というわけではなくて、売れるモノを作ります!という気質(笑)。結局、職人といいつつ商人の気質を持っているということですね。仕事に柔軟性、しなやかさがあります。」

利他の精神と共に

利他の精神と共に

創業当時の話を聞かせてください。

畠:
「1963年、高度経済成長期の真っ只中の昭和38年に先代が創業しました。当時、敷物を中国から輸入する商社が少なかったなか、中国からの仕入れも始めたと聞いています。当時、誰でも中国から輸入できるわけではなかったと思います。中国政府とのパイプを見つけて、中国の奥地まで行って商材を見て・・・と。バイタリティがすごいですね。」

濱口:
「先代の急逝によって、現在の社長が就任したのが平成7年。その後、低価格を売りにした大手量販店やホームセンターが徐々に成長して自社でオリジナル商品を製造するようになって、私たちも大打撃を受けることになるのですが・・・いまでも私たちが商売を続けていられるのは60年の経験値があってこそだと思っています。」

60年の経験値とは一体なんでしょうか?

畠:
「そうですね・・・。時代によってさまざまに商品は変わっていくのですが、それに対して、時代の先取りをしながら常に改良して、新しいものを開発すること。それを積み重ねてきた60年だったと思います。例えば、まだ日本では作ることができないものを中国の奥地まで探しに行ったり、まだ日本人の誰も訪れたことがないような産地を訪ね回ったり。時代によって変わっていくニーズを先取りするアンテナの精度は60年の経験で磨かれています。
あとはやはり、メーカーさんとの強い繋がり。日本国内のメーカーさんとはもちろん、海外メーカーさんとも太いパイプで繋がっています。たとえ自分たちの60年の経験値だけで解決できない問題であっても、その先にいるメーカーさんの経験も自分たちの武器として使えると考えています。」

濱口:
「ほかにも、60年でトラブルシューティングはかなりの量が溜まっています。60年分の失敗、それはすごい財産ですよね。同じ轍を踏まないよう、トラブルにならないよう、危険を察知して解決しています。だからこそ良い商品を企画して、作ることができているのだと思っています。」

60年変わらない「想い」とは?

畠:
「わたしは『利他の精神』だと思っています。自分だけよくなろうという利己的な考えではなく、お客様に喜んでもらう。メーカーさんに喜んでもらう。それがあってから、やっと自分のところに喜びが返ってくるという考えです。
会社の中心には『三方良し』という言葉があり、経営方針になっています。堺商人に根づいている”お客様が望んでいる物を、身を粉にして、より良く作る”という精神も、『三方良し』に通じると思っていますが、身を粉にするということは、つまり『利他の精神』が必要ということです。三方良しの商売を実現するために、私たちは利他の精神を大事にしています。」

世界中の作り手と、本気で向き合う

世界中の作り手と、本気で向き合う

メーカーと二人三脚で品質を高めてきたわけですね。

濱口:
「海外メーカーとの取引は、展示会に参加することで開拓しています。いまでは中国、ベルギー、トルコ、エジプトなどのメーカーさんとお付き合いしています。海外との文化慣習の違いから、なかなかこちら側の意図が通じなかったり、梱包や検品のクオリティが甘かったりと、思い通りにいかないことも多いですね。私たちの60年は、この問題と向き合い続けた60年と言っても過言ではありません。」

畠:
「わかっていただけるまで、しつこいぐらい同じことを言い続けました。『日本ではね、そういうのは無理なんだよ』と。もちろん、メーカーさんが作るものに口を出さず、右から左に売ることもできます。でも、それでは私たちの存在意義はなくなる。フロアライフ・コンシェルジュとして最高の敷物を皆様にお届けできるようにメーカーさんと日夜バチバチやってますよ(笑)」

濱口:
「こちらの本気が伝わらなければ、相手も本気にならないですから。60年かけてメーカーさんと一緒に成長してきました。だからハピラグの商品はどれも人を笑顔にすることができる。それもまた60年の経験値だと思います。」

メーカーから教わることも多いのでしょうか?

畠:
「もちろんです。新しい物を作ろうとする時、『もっとこういう風にしてみたら?』とか『それだとあまりにも値段が上がりすぎるから、こういうふうに変えてみよう』とか、そんなアドバイスをいただくことも多いですね。すぐにその場で試作品を作って『こんな感じだよ』と見せてくれたり・・・。それを見ながら、『ここはもうちょっとこういう風に変えてくれない?』とお願いすることもあるわけです。いまお取引のあるメーカーは、レスポンスも早いし、すぐに製品ができるので本当にありがたいですよ。」

すべてはお客様のフロアライフのために

すべてはお客様のフロアライフのために

お客様のニーズを満たすために、心がけていることを教えてください。

濱口:
「60年という経験のなかで、いろいろな商品を作り上げてきた経験があります。『こういう作り方をすると、どういうものができるのか』『どういうものを作れば日本人の生活空間にフィットするか』というノウハウがあるわけです。その目利き力を最大限に活かそうと心がけています。」

畠:
「開発の最終段階で一旦立ち止まって、自分がお客さんになったときに『これ、欲しいな』って思えるか。そう考えることを大切にしています。フロアライフ・コンシェルジュである以上、いつだって消費者の目線で考えなければいけないので・・・。」

濱口:
「フロアライフ・コンシェルジュといえば、ハピラグのスタッフ全員がコンシェルジュの意識を持って仕事に取り組んでいます。たとえば出荷スタッフたち。ハピラグは自社倉庫からお客様に直接お届けしていますが、出荷を担当するスタッフもみんなラグに愛情を持っています。だから仕事が丁寧だし、行き届いている。」

畠:
「ハピラグは加工場があって、オーダーカーペットの直線カットや柱加工に対応しています。柱加工は、お部屋の梁をよけて敷くための鍵型のカットです。専用の機械と細かな技術が必要な加工ですが、お客様のニーズにお応えするために、自社加工できるように努力しています。」

良いラグとは、一体どんなラグですか?

濱口:
「そのラグによって、その空間を好きになることができれば、それが『良いラグ』なんだと思います。」

聞き手:y.okada(Starsdesign Co.,Ltd.)